観葉植物というと一般的にパキラ、ポトス、サンスベリアなどが思いつくと思います。
初心者にも育てやすく、価格も安いですし、近所のホームセンターや園芸店で年間通して購入可能かと思います。
アロカシアはそこから少し深掘りした時に、初期にたどり着く植物の1つで、種類によっては入手が難しく、高額なものもあります。種類も豊富で約70種類ほどが知られており、コレクションされている方も多いようです。私もこのアロカシアの魅力の虜になった一人ですが、今回はアロカシアの育て方について記事にしようと思います。
◆基本情報
サトイモ科の植物で、東南アジアを中心に70種類ほどがあると言われており、葉の形や模様が個性的で観葉植物として人気です。東南アジアが原産地であることから、高温多湿が好みで、生長期である5-9月は腰水で管理するくらい水を好むようです。


◆温度
生育適温:25〜30℃前後
許容範囲:20〜30℃程度が理想
最低気温:10℃以上 ※耐寒性が低い
限界温度:5℃を下回ると根や葉が傷みやすく、休眠または枯れてしまう可能性がある。
<管理方法>
①高温
高温の対策(夏場の温度管理)ですが、私は特別な管理はしていません。家の庭でガーデンラックに直射日光が当たらないように簾(すだれ)を置き、その下で育てています。簾の下の温度を直接測定したことはありませんが、外気温ですので真夏の日中の最高気温としては39℃程度になると思います。この環境下にて特に問題なく育てられていますし、新しい葉っぱもたくさん出てきています。
しかしながら、アロカシアを含め観葉植物はエアコンの効いた屋内で販売されていることが大半ですし、屋内で育てることも多いと思います。屋内で育てる際に温度の観点で注意するべきことは、冷やしすぎることにより成長が止まる可能性があるため20℃以上を確保すること、及び屋内と屋外の温度差が大きすぎると植物がストレスを感じてしまうため、急激な温度の変化を避けることが必要です。また、後述しますがエアコンの風が直接当たらないように管理が必要です。
②低温
低温に弱いため15℃以上で管理することが推奨されており、霜に当たると枯れてしまうことから、霜が降りる前に室内管理に切り替える必要があります。室内で管理する場合にはエアコンの風が直接当たると枯れてしまう可能性があるため、直接当たらない場所に置く必要があります。また週に数回は日中に日光の当たる窓際に置き、夜は窓からの冷気が当たらない部屋の中央で管理します。低温の管理方法については現在冬に向けて準備を進めていますので別途記事にします。
◆湿度
理想湿度:60〜80%
最低湿度:50%を下回ると葉先が茶色くなったり、丸まったりしやすくなる
参考:湿度が低いと変色したり丸まってしまう原因
アロカシアは大きな葉っぱを持ち蒸散量が多い植物のため、空気が乾燥すると蒸散量に対し、根から吸い上げる水分の量が追いつかなくなります。根から吸い上げられた水分は維管束※を通って葉の隅々まで送られますが、蒸散量が多いことにより葉の末端まで水分が供給されないことにより、葉先から組織が壊死し葉先が枯れてしまいます。(葉先枯れ:ティッピング)
また、葉の細胞が水分を失うと膨圧(細胞内の水の圧力)が下がり、葉の張りがなくなるため葉が萎れたり、丸まって内側にカールしてしまう。
※維管束
植物の体内にあるもので、道管と師管が集まった束状の組織。水分や養分の運搬及び植物を支える役割をしている。
<管理方法>
①葉水
観葉植物の乾燥を防ぐ方法として最も実用的な方法です。朝〜昼に霧吹きではの表や裏に水を吹きかけます。夜は葉っぱを濡らすと病気の原因になるため避けた方がいいとの意見もありますが、私は特に気にせず葉水しています。今のところ夜の葉水が原因での病気にはなっていませんので問題ないと思います。
参考:夜葉っぱを濡らすと病気の原因になると言われている理由
主な理由としては水分が乾かず病原菌が繁殖する環境になるからと言われています。昼間は太陽光や風で水滴がすぐ乾きますが、夜は温度が下がり、光も風も弱くなる傾向になることから水分が長時間残ることになり、また、夜間は葉の気孔が閉じ気味になることから蒸散が減り水分が停滞するためさらに蒸れやすくなります。この水分が停滞することにより病原菌が繁殖しやすくなります。
アロカシアなどのサトイモ科の植物は特に「カビ、細菌性病害」に弱く、灰色カビ病、斑点病、軟腐病などが発生しやすいです。
②加湿器の併用
冬やエアコン環境下では必須です。夏場のエアコン環境下でも50〜60%になるとのことで、植物にとっては少し湿度が低い環境のため、加湿器などにより加湿することが必要です。
冬場についても同様で、エアコンによる暖房では40〜60%と夏場に比べさらに湿度が低くなる傾向にあることから、加湿器による加湿が必要と言えます。
③腰水管理
鉢皿に水を張ることにより植物周辺の湿度を上げる方法です。サトイモ科の植物は水分を好むため有効な方法ではありますが、根腐れの可能性があるため気温などによっては長時間の放置は避ける必要があります。
④ハイドロボールや水苔を表面に敷く
ハイドロボールは粘土を高温で焼結した多孔質のボール状資材で、吸水性や排水性に優れています。表面や内部の細かい穴に水を含み必要に応じて植物に供給できることから、根腐れを防ぎながら湿度を確保できます。また水苔についても水分を多く含むことができますので、湿度を確保するのに有効な手段と言えます。
⑤植物をまとめて配置
まとめておくことにより植物の蒸散効果により湿度を確保することができます。ただし、必要な湿度を確保するためには相当数の植物が必要になると思います。


◆水やり、灌水
植物を育てる上での水やりの基本的な考え方としては、たっぷり→乾かす→たっぷりを繰り返すことです。これは植物が根をしっかり伸ばすために、「根が水を探して伸びる環境」を作る必要があるためです。しかしながら季節や気温によって生育が変わるため、この生育に合わせて水やりを変更する必要があります。
<春夏秋>
生育期である春から秋にかけては、十分に水を与える必要があります。気温が高いことから土の表面からも蒸発しますし、葉っぱが蒸散する量も多いため、乾いたら水を上げることに変わりはないのですが、ほぼ毎日水をあげることになるかと思います。
真夏の水やりには注意が必要で、午前中に水やりすると鉢内の水温が上昇し根を痛めてしまう可能性があるため、夕方から水やりをするなど、高温による根を痛めない配慮が必要です。
<冬>
気温の低い冬は成長が止まることから、水をあまり必要としなくなるため、乾燥気味に管理します。乾燥気味に育てる理由として、根腐れを防ぐとともに樹液の濃度を高めて寒さに耐えられるようにする目的もあります。水やりのペースとしては土が乾いてから2、3日後に水やりを行い、水が不足していると葉を落とすことがあるため、落葉するようであれば水やりの頻度を上げます。また、乾燥を防ぐために1日一回葉水をすることも有効です。
※管理温度を高くすることができない場合は、冬場は一旦葉を枯らせて、土の中で芋を育てて気温が高くなる春に再度葉をつける方法もあります。
参考:腰水管理
上述の腰水管理の項目でも記載しましたが、アロカシアなどのサトイモ科の植物は水分を好むため、春から秋の生長期には腰水管理でも良いと言う意見もあります。
私もじゃぶじゃぶの腰水管理とたっぷり→乾かすの繰り返しの両方を試しましたが、正直なところどちらがいいとも言い切れないです。
例えばアロカシアのアマゾニカをヒタヒタの腰水管理で育てていましたが、どんどん大きくなりましたし、新しい葉っぱも次々に出てきました。その他にもブラックベルベットやシルバードラゴンも同様に腰水管理で育てていましたが特に問題なく育っていました。
しかしながら、アロカシアバリエガータを同様な腰水管理で育てていたところ、水に浸っていたところが腐敗していました。早めに気づいたので生育に問題はありませんでしたが、我が家のバリエガータは腰水管理ではダメなようです。
一般的にバリエガータの方が蒸散作用が少ないので、水分を吸い上げられない分腐敗してしまったと考えられます。このようにバリエガータは斑が入っていないものに対して葉緑素が少なく、気孔の分布や数が少いなど、注意して取り扱う必要があります。
長くなりましたので本記事は一旦ここまでとして、パート②で続きを記載します。